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歯のインプラント治療は所得が高い人ほど受けている インプラントが最適の治療方法でも、所得により受けられない人が存在する可能性

【研究のポイント】

  • 歯科インプラントの利用の社会格差に関する研究で、個人の所得を利用した研究は無く、教育歴との関係を比較した研究もありません。そこで歯科インプラント利用の所得および教育歴による格差を検討しました。
  • 教育歴よりも所得の方が、歯科インプラント利用と強く関連していました。インプラントが最適の治療方法であっても、経済的な問題で受けられない人々が存在する可能性が示唆されました。

【研究概要】

歯のインプラント治療は、歯周病やむし歯の治療などで歯を抜くことになった場合に、人工の歯を植える有用な治療方法です。日本では国民皆保険でカバーされていないため(自費治療のため)、高価な治療費を支払うのが難しい人では利用が少ないことが予想されますが、そのことを示すデータはありませんでした。世界的にもインプラント利用の社会格差の研究はほとんどありません。

本研究では、65歳以上の地域在住高齢者約18万人を調査し、所得や教育歴によりインプラント治療の経験に差があるか調べました。その結果、歯の数が19本以下だった84,718人の内、2,552人(3.1%)がインプラントを利用していました。年齢や性別、地域の歯科医院の多さを考慮したうえで、所得が低い群に比べて高い群で4.85倍、教育歴が低い群に比べて高い群で2.13倍、インプラントを利用していました。教育歴よりも所得の方がより強い関連を示しました。インプラントは自費治療であるため、所得が低い人が受けにくいという実態が客観的なデータで示されました。歯科治療の利用が所得で変わってしまうという格差を解消するためには、保険診療の拡大が必要かもしれません。多様な新しい医療技術が登場する中、どの医療技術を保険でカバーするのか、質調整生存年(QALY)を用いた客観的な検討が必要でしょう。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科 国際歯科保健学分野
准教授 相田 潤(あいだ じゅん)
電話:022-717-7639
E-mail:j-aida*umin.ac.jp(*を@に置き換えてください)

歯科医師 アッバス ハゼム
E-mail:hazem.abbas.farouk.abbas.s7*dc.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科広報室
E-mail:den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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